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高森明勅
2011.4.18 13:12

ドナルド・キーン氏「新日本人」への決断

いざという時にその人物の真価が現れる。

3月11日以降、確かにその通りだと思わされる経験を、もう何度も繰り返した。

ここに新たな一例が。4月16日付朝刊の片隅に、日本文学の研究者でコロンビア大学名誉教授のドナルド・キーン氏が、日本への帰化を決意したことを伝える記事を見つけた。

その記事は、同氏が東日本大震災に心を痛め、震災後、多くの外国人が日本を離れていることを残念がっているとも、報じていた。

氏は、日本文学や日本文化を扱った英語と日本語の数多くの著書を持ち、三島由紀夫などとも深い付き合いのあったことは、よく知られているだろう。

その彼が、震災を機に、日本国籍を取得して、日本に永住する考えを固めたという。

キーン氏は現在、88歳。その高齢の身で、福島第一原発の事故がまだ収束せず、今後の地震についても予断を許さない現時点で、長年住み慣れ、名声を得たアメリカを離れ、日本に移り住み、新しく日本人になろうと決めたのだ。

生半可な気持ちで出来ることではない。

氏がこれまで語って来た日本への思いは、決して偽りでなかったことが、揺るぎなく証明されたと言えよう。

これまで日本に帰化した人たちの中で、恐らく最高齢になるのでは。

それにしても、キーン氏をはじめ、優れた人物が多く日本に帰化する事実を、どう考えるか。

日本人は自らの祖国をもう一度、見直す必要があるのではあるまいか。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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